株式会社 冨士カンテイ(大阪市)の不動産コラムです。
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不動産コラム
2014.09.22
都道府県地価調査価格の発表

全国の各都道府県が平成26年の基準地価(平成2671日現在、21,740地点)を発表した。
今回の特徴としては、別表に示す通り全国平均でみると住宅地、商業地及び工業地いずれも下落を示しているものの、前回調査(平成25年)から下落率は縮小しており、リーマンショックに端を発する地価下落基調も徐々に終息に向かっていることが窺える。中でも三大都市圏平均でみると住宅地、工業地がマイナスからプラスに転じているとともに、商業地も上昇傾向が強まっている。なお、上昇地点数の割合は全国的に増加しており、特に三大都市圏では住宅地の1/2弱の地点、商業地の2/3強の地点がそれぞれ上昇しており、地方圏においても上昇地点は増加している(但し、地方圏においては依然として8割弱の地点が下落している)。
このように全国的にみて地価は回復に向かっていると言って間違いなさそうであるが、地価が回復してきた要因については、景況感の改善や値頃感が浸透してきたことを背景として、住宅ローン減税、低金利誘導等の各種施策が大きく影響しているものと思われるところ、果たして今後においても回復傾向が持続するかどうかが気になるところである。
筆者としては経済の先行き不透明感は依然として払拭できておらず、しかも人口減少が懸念される現今の状況下においては、益々地価の二極化が進んでいくように思えてならない。特に商業地の地価上昇を支える要因の一つに、マンション用地として住宅転用する動きがあげられるが、これは限られた人口の謂わば争奪であり、都心の生活利便性が選好基準となる生活スタイルの変化も手伝って、都心部の人口増、郊外部の人口減という構図が歴然とするのである。実際その動きは予てから見られるところであり、市町村間での人口移動を始め、都心部内においても、より中心部への移動が見られるなど、広域的にみても狭域的にみても人口の二極化は進んでいる。
つまり、このような人口動態の傾向は当面続くものと思われ、より中心部への人口流入が進むということは再開発や不動産投資の活況を促すものであり、他方流出する側としては、抜本的に魅力あるまちづくりを企図しない限り衰退の道を歩まざる得ないことが懸念される。
よって、今回の都道府県地価調査の結果に表れている通り、今後も圏域間においては勿論、同じ圏域内でも二極化が益々進んでいくことが予測され、中長期的には上昇するポイントと、殆ど上昇しない(もしくは下落)ポイントとの格差が広がっていくものと思われる。
なお、今回の発表結果を受けて今一つ気になる点をあげるとするならば、同じく毎年11日時点現在の地価を発表している地価公示との共通地点での半期変動率であり、これをみると東京圏商業地では前半期と後半期の変動率がほぼ同じで、大阪圏住宅地では後半期の上昇率が前半期のそれよりも強まっているが、これら以外の圏域・用途では後半期の上昇率が全て弱まっていることである。
これは消費税増税前の駆け込み需要が影響しているとも受け取れるが、アベノミクスによる景気浮揚策もここへきて懸念が強まっていることや、海外景気の下振れリスクが我が国の不安材料として常に存すること等も考え合わせると、短期的には再度の地価調整局面に至ることも十分考えられる。
最後に、個人的には東京オリンピック、リニア新幹線、消費税増税等の大事業を控える我が国としては何が何でも景気を維持していくであろうとの甘い期待があり、また地価の上昇ポイントが漸く顕在化してきた明るい状況を当面維持してもらうことも願って止まないが、直接的な恩恵を受ける都市は限定的であることからすると、やはりどの地域も抜本的なまちづくりの検討が欠かせないものと思われる。特に地価は経済動向を反映する一ファクターに過ぎず、地価水準そのものに注視することよりも、地方を含む都市の在り方について考えてみる方が余程重要であることからすると、二極化の過渡期にある現状はあらためて都市の将来像について考え直す良いタイミングと思われるので、今一度皆様ゆかりの地について個性を反映したまちづくりを夢見ては如何であろうか?

平成26年都道府県地価調査

圏域別・用途別対前年平均変動率(国土交通省発表資料抜粋)

用途別

圏域別

住宅地

商業地

工業地

平成25年

平成26年

平成25年

平成26年

平成25年

平成26年

変動率

変動率

地点数

変動率

変動率

地点数

変動率

変動率

地点数

東京圏

△ 0.1

0.6

2,407

0.6

1.9

835

0.5

1.2

88

大阪圏

△ 0.4

0.1

1,175

0.4

1.5

352

△ 0.8

△ 0.2

73

名古屋圏

0.7

0.9

547

0.7

1.5

236

△ 0.6

△ 0.3

35

三大都市圏

△ 0.1

0.5

4,129

0.6

1.7

1,423

△ 0.2

0.4

196

地方圏

△ 2.5

△ 1.8

10,625

△ 3.1

△ 2.2

3,649

△ 2.9

△ 2.1

615

全国

△ 1.8

△ 1.2

14,754

△ 2.1

△ 1.1

5,072

△ 2.3

△ 1.5

811

(変動率:%)


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